高齢者が住んで安心して暮らしていける専門住宅には、まず価格の問題があります。高齢者にとって頼りとなるのは年金です。これは、月々平均十五万円もあれば良い方です。ですから、食費を含めて十万円程度で収まる物件が必要です。

賃貸料としては、五・六万円が限界です。食堂が併設していることが肝心です。年をとってくると食に対する欲求も衰えがちですし面倒です。健康管理も含めて食事を提供するサービスがついている専門住宅が必要です。

食堂で入居者同士がコミュニケーションをとれることも大切です。人は、一言もしゃべらずに過ごすということは大変難しいですし、そのような環境に身をおくと呆けていく要因ともなります。人との関わりは生きていく糧となります。さらに、もしもの場合に備えて介護サービスを受けられる環境も必要です。

介護の度合いに合わせた支援を適切につけることが求められます。そのためには、専門住宅の一角に健康相談や今後の介護や医療サービスへとつなげてくれるコーディネーターの配置も不可欠です。専門の知識と経験を持った方と気兼ねなく相談できる体制を整備することが、健康不安の高まる高齢者にはなくてはなりません。適切な環境を経済・精神・医療面からバランスよく支える施設が求められます。

高齢者は、環境に適応することができれば安心して長寿をまっとうすることができます。それが、高齢者の子や孫の幸せな生活にとっても大事な条件となります。