金額を際限なく高額にすれば、よりよいサービスが受けられることは間違いありません。しかし、一般庶民にとっては高齢者扱いになってからの収入源は主に年金です。その金額はおおよそ月十五万程度と言ったところでしょう。その中から専門住宅の賃借料に六万円、水道・燃料・電気・電話等の料金で三万円はとんでしまいます。

食堂で食事がセッティングされていることが、高齢者にとっては重要な要件です。最低のレベルとして夕食のみを注文するとして月に二万円はかかります。十数万が費用としてかかるので、残りの三万円ぐらいが自由になる金額です。そのような経済事情の中でも、明るく楽しく生活していくためには、人との関わりがあることと健康についてのケアがあることが大切な条件です。

高齢者の楽しみは、食事をしながらの会話です。専門住宅では、一堂に会する食堂があることが望ましいです。そこにカラオケなどもあればサークル活動ができます。人が健全な精神で生きていく目的を持つためには、人との関わり・会話がなくてはなりません。

漠然と毎日テレビに向かうだけの生活では、呆けてしまうとともに人生に希望を無くしてしまいます。また、健康の不安やこれからの身体のことを考えると、専門住宅の一角に健康相談員や介護・医療とつながるコーディネーターを常駐させていることが必要です。健やかな老後を専門住宅で送るためには、最低限これらの環境を整備することが必要だと言えます。